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今年もひまわりを探して。(日記)

連続自動更新7日目。
一応これで連続自動更新は最終日にします。

最終日も、今は非公開の過去日記から。


=====


「ひまわりの妹」


僕は小児ぜんそくだったんだ。
しょっちゅう入院していた。

僕が小学校の3年の時だった。
例によって入院することになった病室には、
他に3つのベッドがあった。
そのうち2つは、空だった。
僕の隣のベッドは、僕よりずっと前から
居るらしい女の子だった。

点滴を打たれて大人しくしているしかない僕に比べ、
その子ははるかに元気そうだった。
僕は、点滴がくっついている自分の姿を
その子に見られるのがなんか恥ずかしくて
その子の方はなるべく見ないようにした。


その夜中 僕は発作を起こした。
ぜいぜい言って こんこん咳をして とても苦しかった。
ところが 内気な上に考えすぎる癖があった僕は
そんな時ですら

夜中に看護師さんを呼んで
たいしたことなかったら申し訳ないとか
夜中に明かりをつけられたら 隣のその子にも悪いし・・・
多分 夜中の看護師さんの定期見回りがあるから
それまでは・・・
様子を見ているうちに治まるかもしれないし・・・

などと考えながら、
半身を起こして(寝ていると余計苦しい)
一人で真っ暗な中、ぜいぜい言っていた。
だが、当然のように発作は治まるどころか悪化し、
僕は目に涙を浮かべて必死に息をするだけで精一杯だった。

その時、ようやっとベッドを囲んでいるカーテン
(夜や回診時などに各ベッドを仕切る)が開いて、
「苦しいの?」という声が聞こえた。
同時に、手が背中をさすってくれた。
やっと看護師さんが来てくれたのだ。
僕はちょっと安心して頷いたが その後の記憶はない。


翌朝、目が覚めるとベッドの横には
ごっつい機械が置いてあって
マスク付きの吸入ホースが伸びていた。

あぁ 吸入したんだな。
僕がまだぼうっとしている頭で そう思ったとき
隣のベッドから声がした。

「だいじょうぶ?昨日は苦しそうだったね・・・」

僕は またそんな醜態を見られたのかと
気恥ずかしくて その子に背中を向けた。

だが 
ちょっと待てよ。
その声。
昨日聞いたような。
もしかして あの声は。

そうだったのだ。
夜中に発作に気付いて背中をさすってくれたのは
その子だったのだ。
しかも その子は看護師さんまで呼んでくれたらしい。


そう知って でも僕は恥ずかしくて 
まともにお礼も言えなかった。
ただ、
「うん、もう大丈夫だよ」
とだけ つぶやくように言った。
その子は にっこり笑って 
「そう!良かったねー!!」
と言った。
その子の後ろの窓から輝く太陽より
その笑顔は輝いていた。


その朝 僕は初めて 
その子についていろいろなことを知った。

その子の名前 家族 住んでるところ 学校
僕より一つ下なこと
それから 検査入院なんだけど
ちょっと引っかかるところがあるからと
なんだかんだで長引いていること。

僕たちは急速に仲良くなった。
発作も峠を越え、もう点滴も取れた僕は
その子と毎日 いや 「毎晩」も遊んだ。

夜の病院でのかくれんぼは とてもスリリングだった。
僕がわざと見つかりやすいところに隠れていると
その子はすぐにとんできて
「そんなとこ カンタンだよー!」
とケラケラ笑って僕の腕をつかんだ。
響いた声にやってきた看護師さんにひどく怒られても 
うつむきながら二人で顔を見合わせてクスクス笑った。


その子は僕を「お兄ちゃん」と呼んだ。
僕もほんとに妹が出来たみたいで 悪い気はしなかった。

「お兄ちゃん、好きな子いるの?」
ある日 不意に聞いてきた。
「な、なんだよ・・・」
僕はいきなり顔が真っ赤になった。
「あー!いるんだー!!」
「う、うるせー!お前の知ったことか!」
乱暴に毛布をかぶって 背中を向けた。
「妹」は それを見てまた 
ケラケラと明るい笑い声を立てていた。

それからは 何かにつけて「好きな子・・・」
とつぶやき、僕をからかうのだった。
実は、僕には当時、好きな子も何もなかったのだが
その子が僕の反応を面白がるので
僕も「お兄ちゃん」として、
わざとからかわれてあげていたのだった。


そんなこんなであっという間に3週間が経った。

ある朝、先生が回診で言った。
「もう大丈夫だね!午後にでも退院しよう!」
「え・・・?」
僕は 不意に訪れた「慶事」に目をぱちくりさせた。

目の前の先生、看護師さんやベッドの横で
お辞儀をしている母親よりも
閉まっていたカーテンの向こうで
寝返りの音が聞こえたことが気になった。

母親が手続きをしに行った時に 
カーテン越しに呼びかけた。

「聞いたか?すぐ退院だってさ!お先に~!!」 
わざと明るく言ってみた。
「うん!良かったねー!!」
いつもの明るい声が返ってきた。
でも、明らかにいつもの調子ではなかった。
僕は、何も話せなかった。
その子も、鼻をすすっているだけだった。

それから それぞれの母親がやってきて
互いにあいさつしたりで 病室がバタバタし始めた。
僕は 何となく居づらくて 
トイレと言って病室を出た。

・・・かといって行くところも無いので
仕方なくちょっとだけトイレに行って
病室の近くに戻ってくると 
開いたドアの向こうから泣き叫ぶ声が聞こえてきた。

「どうして!?なんでアタシは退院できないの!!」
「なんでお兄ちゃんだけ行っちゃうの!?やだよ!!」
懸命にお母さんがなだめているようだった。

僕は入るに入れず、そばの壁にもたれかかっていると
やはり病室に居づらくなったのか、母親が出てきた。
そして僕を見つけると、無言で僕の肩を抱いて 
「先生や看護師さんににあいさつに行きましょう」
と言った。
・・・今までの入院ではそんなこと 
一回もしたことがなかったのに。

しばらくして病室に戻った僕は 
なるべくその子の方を見ないようにして
黙々とパジャマから普段着に着替えた。
昼食を食べたらいよいよ退院だった。

その時、その子は急に言った。
「お兄ちゃんの分のプリンも食べたい!!」
味気ない入院食の中では、プリンは非常に
楽しみなデザートなのだ。
僕もその子もプリンは大好物だった。

「えー?」
僕はわざとニヤニヤしながら言った。
「どうしようかなー?」
「ほら、だめよ、お兄ちゃんに悪いでしょ!」
その子の母親がたしなめた。
が、その子はがんとして聞かなかった。
「やだ!どうしても2つ食べたいの!!」
「じゃあお母さんが売店で買ってきてあげるから。」
「やだ!いますぐ食べたいの!!」
そこで 僕は言った。
「いいよ!あげるよ!」

「妹」は、その日初めての輝く笑顔を浮かべた。
でも、今すぐ食べたいと言っていたくせに
やっぱり後でのお楽しみにするのと言って 
引き出しにしまいこんでしまった。


意外なほどあっさりとあいさつをして
僕は母親に連れられて家に戻った。
久しぶりの家に 懐かしさを覚えたが
同時に 何か忘れ物をしたような気もしていた。


それからほとんど毎日 学校が終わると僕は
「妹」の面会に行った。

そうして一ヶ月ほど経ったある日 「妹」は言った。
「ね 学校で好きな子に毎日会えてうれしい?」
にやにやしていた。
「なんだよ またその話かよ!やめろよー!」
僕もわざとらしくにやにやした。
「えへへへへー!顔赤いよ~!!」
ケラケラと笑った。

「・・・明日、手術なんだ・・・」
不意に言った。
「え?」
驚いた。
「ちょっと・・・こわいなー。・・・なんて~!!」
無理に笑っていた。
「・・・」
「・・・」
「大丈夫だよ!」
やっと言った。
「そうかなぁ・・・」
うつむいた。
「・・・」
なぜか不安になった。
「なんてね!大丈夫に決まってるじゃん!!」
逆に励まされた。
お互い、笑い合った。

「ね!」
「ん?」
「手術したら、何くれる??」
「何で僕がお前に何かあげるんだよ」
「いいじゃん!何かちょうだい!」
「うーん・・・わかったよ 考えとくよ!」
「えへへー」
夕日に照らされながら 輝くように笑った。


次の日 僕は授業もうわの空で 
何をあげたらいいのかずっと考えていた。
そして 学校が終わると その足で 
ちっちゃな花束と プリンを買って病院に行った。

だが 手術は まだ終わっていなかった。
手術室の前に行こうとしたが 
その子の家族が心配そうにしているのが見えたので
慌ててきびすを返してしまった。

その夜は なかなか眠れなかった。


翌日 学校から帰るなりランドセルを
紙袋に入れた昨日のセットに持ち替えて
病院に行こうとすると 母親に呼び止められた。

「なに?あとでに・・・して・・・よ?」
一刻も早く行きたいのにと いらいらしながら振り返ると
母親の表情は いつになく険しかった。
そして その目は潤んでいた。

「・・・なに?」
心臓がバクバクした。

「・・・」
僕は紙袋をドサッと落とした。
全身の力が抜けた。
その場にへたりこんだ。

うそだろ。
いつまでも 心臓が 揺れ動いていた。
そっと 母親が抱きしめてくれた。



次の日 線香臭いお寺に母親と行った。
たくさんの花と 黒い服に囲まれて 
「妹」は黒い枠の中で 相変わらず輝く笑顔を見せていた。


それを見た瞬間 僕はたまらず泣き出した。

なんだよ おととい あんなに元気だったじゃんか
うそだろ? また僕をからかってんだろ?
いつかのかくれんぼみたいに 
その花の後ろから
ばあーって 僕を驚かそうとしてるんだろ?

一生懸命考えたんだぞ 何がいいのかって
こんなちっぽけな花束でも 
こづかいぜんぶはたいて買ったんだぞ 

なあ 受け取りにこいよ 
大好きだろ プリン
そしてまた 笑うんだろ?
ケラケラって!?


張り裂けそうな思いで お線香を立てた後
「お母さん」に、他の部屋へと呼ばれた。
そこで初めて、本当の病気を知った。

それから、手紙を渡された。

「手術の前の晩 書いてたのよ・・・」
真っ赤な目をハンカチで拭いながら 手渡してくれた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

お兄ちゃんへ

あした 手術だよー
ドキドキしちゃうから 何となく落ち着くために
この手紙を書いてまーす!

星がきれいだよ!
でも毎晩だもん 見あきちゃった
入院ってたいくつだよね

でもね お兄ちゃんに会って2か月は
とっても楽しかったよ!

お絵かきしたでしょ
かくれんぼしたでしょ
それから いっぱいお話ししたでしょ!
楽しかったあ!

お兄ちゃんが退院してからも
毎日来てくれて ありがとね!

でも 明日が過ぎたら やっとお外で遊べるね!
そう考えたら ちょっとコワいけど 
でもはやく 明日にならないかなあ! って!!

ねえ お兄ちゃんは何のお花がすき?
アタシはね、ひまわり。
太陽に向かって すーって立って
きらきらしてるの。
かわいくてかっこいいよね!

いっぱい いーっぱい遊ぼうね!
それでね お兄ちゃんが 好きな子に
もし ふられちゃったら 
その時は アタシが 
およめさんになってあげるからね! なんてネ!

お兄ちゃん ありがと!
大好きだよ!!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

僕は また泣き出してしまった。
涙が 大切な手紙の上に落ちてしまって
慌てて こすったら 「兄」の字が滲んでしまった。


「苦しいの?」と言ってさすってくれた手
「治ったの?良かったねー!」と言ったときの笑顔
「えへへへー」と笑った声
「カンタンすぎるよー」と 僕を掴んだ手
「ちょっと・・・こわいな・・・」と うつむいた顔
「好きな子」を 執拗に 気にしてたこと・・・


僕は たまらず 駆け出した。
気が付くと近くの公園の 築山の上に居た。

ばかやろー 勝手に「退院」しやがって!
遠くに見える病院に向かって叫んだ。

でも その時 「退院」の日のことが思い出された。
そうだ 「妹」は 「良かったね!」って 
言ってくれたじゃんか。

僕は 「妹」を心底尊敬した。

そして 涙を拭うのも忘れて 空に向かって言った。
「もう 病気で苦しまないよな!
おもいっきり遊んでるかい?
・・・良かったな!!・・・良かったんだろ?!」

その時の 太陽は 返事のように
いつもの倍 輝いていた。


まだ恋愛うんぬんなんて 
知らない頃の話さなんて言ったって
やっぱり未だに あまりにも太陽の輝く日には 
しばらく空を見上げて 立ち尽くしてしまう・・・。

----------------------------------------------------

今年はどうしても外せない用事があったため、「その日」に
「妹」の大好きなひまわりの花を
持って行ってあげられなかった。
来年も同じかもしれない。

でも、僕には分かる。
「妹」はきっとこう言っている。
「大丈夫だよ、お兄ちゃんの気持ちはわかってる。
 心配しないで。ありがとう。応援してるよ!」

ふと通りがかった花屋のひまわりが
風も無いのに 優しく揺れた気がした


(2007年08月30日)


=====


久しぶりに、そっとしまっていた宝箱の底を見た感じ。
あまり多くは語るまい。


もう遥か昔の、暑い夏の日。
小さな、でも何よりも輝く大輪が、そこにあった。

ひまわりの妹は、あれから。
そして、これからも。

僕の中に、ずっとずっと、居てくれるのだろう。


小さな出逢いとちっぽけな思い出だけれども。
彼女の短すぎる生涯の意味のほんの片隅にでもなってくれていたらいいな。


そう願ってやまない。


=====


連日の自動更新にお付き合い頂きありがとうございました!

今後はゆるゆると更新していきたいと思います。
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想い出も良いけれど、今のあなたが想い出だけになる前に。(日記)

連続自動更新6日目。
言い忘れたけれど、予約投稿って言う機能があって、
記事を書き溜めできるので、使ってみたいだけの一心で(笑)、
ここまでの連続自動更新記事は全て7/3に書いています。


さて、今日も非公開の過去日記から。


=====


「台風ノスタルジー」


窓外の激しい風と雨を眺めていると
色々なことを思い出す。
以下は、過去に出会い、
そして巣立って行った友へ捧げたもの。
いまはどこでどうしているのだろう。

-----------------------
「飛び立つ小鳥へ」

その小鳥に出会ったのは 偶然だったかもしれない。
とても愛くるしい瞳で 巣の中から
顔をちょこんとのぞかせて でも どこか寂しげで・・・。

遊ぼうと声を掛けると そーっとそーっと来てくれた。
可愛らしい声で 美しい羽で 
僕をいつまでも楽しませてくれた。
でも どこか不安げで・・・。

僕は小鳥と ともだちになった。
楽しく遊んだり 時には辛いことも話し合ったり。
・・・したはずだった。

ある日 僕はやっと気づいた。
小鳥は その小さな体に 
とても辛い過去を背負っていたんだ。
ずっと 人間が信じられなくて 恐れていて
笑いながら 歌いながらも 自分で殻を作っていたんだ。

だけど 小鳥の美しい心に惹きつけられた人たちが
暖かい風となって 美しい空となって 
どっしりした大地となって
そーっとそーっと殻を取り除いていった。
根気よく いくらでも時間を掛けて。

そして今 小鳥は殻を破って 
もう一度 人間を信じようとしている。
羽に残る古い傷跡も 
今では小鳥の美しい模様の一部となった。

小鳥の心に開いた穴は ふさがることは無いかもしれない。
でも 小鳥の心はもう 荒野じゃない。
穴の周りには 色とりどりの 綺麗な花が咲いている。

そんな風景を 心に抱き 
小鳥は今 一つの巣から飛び立つ。
親鳥となって 大きく美しくなった羽を 
思いっきり太陽に向けて。


愛を知らないと泣いた日もあっただろう。
初めて愛を知って喜んだ日。
でも傷ついて 絶望して 心を閉ざした日々。
そうして また愛を知った。
その愛は いつまでも君とともに。

僕は 友達になって日が浅いけれど
大した色も香りも出せない 地味な花だけれど
飛び立つ小鳥を にっこり笑って見送りたい。
そして いつまでも見守りたい。

巣立ちだね。 おめでとう。
一つの区切りだね。 よく頑張ったね。

もう 怖がらなくていいんだよ。
いや 怖くなることもあるかもしれない。
でも 怖がるのも いや 笑うときも 
泣くときも 怒る時だって
君はもう 一人じゃない。

暖かい人たちがいる。もちろん僕もいる。
君を必要としている雛がいる。
そして ずっとずっと空の上から
見守ってくれている人がいる。
“いつも いつも 愛に 囲まれている。”
だから もう大丈夫だね。
本当に 本当に よかったね。

君の綺麗な羽 美しい心の風景
とっても とっても 素敵だよ。
君に出会えて良かった。
そして 君の友達になれたことを 誇りに思う。

何回言っても どんな美辞麗句を尽くしても 
きっと伝えきれないから
一回だけ 一言だけ でも 心から。

「ありがとう。」

-----------------------

きっと 君のことだから 
いまや強靭になった羽で 最愛の子を守りながら
どんな暴風雨だろうと 飛び続けてるんだろう。

そんな彼女のテーマでもあるフレーズを 
そっとつぶやいてみる。
“Love Always”

台風が去った後の様な
ほっとする、でも懐かしいような想いが 
胸の中に広がった


(2007年09月07日)


=====


初めてブログというものを始めたとき、
ふとした縁でお互いのブログを行き来した人だった。
諸事情からもうブログを続けることができないと知って、
やはり寂しかった。

それでも精一杯に書いた応援歌。


彼女のブログのタイトルが、
“Love Always” 。

あれからもう結構な年月。
いま、小鳥はどこを飛んでいるのだろう。
どんな姿になっているのだろう。


まあ、でも、こんなノスタルジーもたまには良いけれど、
やっぱり、今、せっかく近くに居るあなた。

もはや更新されることの無い、
セピア色又はグレーの記憶だけの存在には、
お互いなりたくないね。

まだまだ、ううん、ずーっと。
フルカラーで、景色を心情を共有しようよ。

正直、今はそう思うよ。




次回の更新は、明日7/11(月)23:54です。



 

愛情と試練(日記)

連続自動更新5日目。

今日も今は非公開の過去日記から。


=====


「老人と樹」


老人が 一本の古ぼけた木を見つめていた
一見どこにでもあるような ただの木だ
いや むしろ 幹も細い 葉もあまりついてない
他の木よりも みすぼらしく見えるぐらいだ

つい 気になって
その木って そんなに見栄えがいいかい
って 僕が聞いた

老人は ちょっと振り返って
いいや 見ての通り
と 首を振った


じゃあ 何をそんなに見つめているんだい
重ねて僕は 問いかけた

老人は 再び木に顔を戻して
今度は振り返らずに こう答えた
この木は 強いからな

僕は もう一度その木を見た
やっぱり細くて 葉もまばらで
そんなに強くは 見えなかった

怪訝な顔をしている僕に
老人は 静かに言った


なぁ お若いの
木というものはね どこが一番大事かね
この幹か 枝か 葉っぱか 
咲くかも知れない実か 花か

確かにそれらの部分も すべて大事さ
でもね お若いの
その木の値打ちを決めるのは
それら見える部分じゃない

この木は がっしりした根っこを持っている
長い長い 年月をかけて
じっくりと じっくりと 根っこを地下に伸ばしてきたんじゃ
わしには それが よくわかる
この木は きっと 大きな樹になるよ


なぁ お若いの
お前さんは この木になれるかい

地面の上に出ている部分ばかり 気にして
顔がどうだ 髪型がどうだ
肌がどうだ スタイルがどうだ
服がどうだ 持ち物がどうだ
会社がどこだ 家がどこだ
どういう身分だ お金がいくらある

そんなところで 目立とう抜きん出ようと
肩肘張ったって 着飾ってみたって
それはその人の 本当の魅力なのかい
大きな地震が来たときに それで立っていられるのかい

この木はな 硬い地面に
少しずつ 少しずつ 根を張ってきた
それは誰にも見られることもない ほめられることもない
それでも ひたすらに この地に根付いてきたんじゃ

だから 幹が細くても 葉が少なくても
人を惹きつける そんな力を持ってるんじゃ
だから 暑い夏も 寒い冬も 枯れやせずに
台風が来ても 地震が来ても びくともせずに
どっしりと ここに根付いているんじゃ
 

まぁ お若いの
まだまだお前さんには わからないかもしれないがね
老人は そう言って
木と僕を 一回ずつ見ると
ゆっくりゆっくりと 去っていった

木が 風でかすかに揺れたようだった
それは 老人に手を振っているようでも あった


僕は 改めてその木を見た
幹が伸びている地面の下に
なんだか どっしりと暖かい
なんだか 安心できる
そんな 根っこが 見えてくるようだった

ははは と幹をぱしぱしやって
僕と木は 笑い合った
なんだか お互いに少し 強くなれた気がした


(2007年09月14日)


=====



いきなり少し本旨とはずれるが。


不器用、という言葉がある。

自分もまさに当てはまると思うのだけれども、
なかなか思ったことを表現できなかったり。

こんなはずじゃないのに。
こんな思いじゃないのに。


名伯楽、という言葉がある。

元は相馬眼に優れた人の話だったと思うが、
真の良さを見抜く能力に長けた人物。


いくら素質があっても見出されなかったら埋もれてしまう。
いくら見抜く目があっても才能に出逢えなければ何も世に出ない。


この世は本当に奇妙な縁で繋がっているんだなあと思う。


さて、閑話休題。

どんなにみすぼらしくてもね。
根っこが、幹が、しっかりしてたら、
いくらでも綺麗な葉を、花を、付ける事ができる。

どんなに花だけ綺麗なのつけててもね。
根っこが腐ってたら、残念ながら長くは無い。


しっかりした根を生やし、幹を育てるには、
どんなものが要るのかな。

甘い養分だけじゃあ、きっとないよね。
時には暴風や天敵、落雷、日照り…。

試練にも耐えながら、少しずつ、
太く、強くなっていくのかな。





次回の更新は明日7/10(日)23:55です。


 

Why am I here?(日記)

連続自動更新4日目。

今日も非公開の過去日記から。


=====


「理由」


何のために?
金曜の夜 公園でトレーニングをする青年
雨の日も風の日も 一点だけを見つめて走り続ける
友達は酒を飲んだり カラオケに興じたりしているのに
彼はひたすら ロープを跳ぶ


何のために?
いつもニコニコ 絶えない笑顔
でも家に帰ったとたん 深いため息
化粧も落とさず 服も着替えず 
ソファにドサッと 沈み込む
それでも また翌日も 笑顔絶やさず外回り


何のために?
去年登った山で 崩落にあって大怪我
歳も歳だし 落ち着きなよとの周囲の声を
せせら笑うように 彼はまた その山に挑む


何のために?
穏やかな波ばかりじゃない
吹き荒れる風に 猛り狂う海
テレビが警報を伝えている
それでも今夜も 網を抱えて漁に出る


何のために?
安い時給 単純な繰り返し作業
別に自分じゃなくちゃ いけないわけじゃない
ただの歯車だと 分かっている
それでも自転車を漕ぎ 今夜もバイト


何のために?
傷つけて 傷ついて
もう信じられないと 泣きじゃくって
絶望の淵に立たされながら
それでも また人の胸に飛び込んで行く


何のために?
感謝されることもない
お金が儲かるわけでもない
偽善だとまで言われかねない
それでも 今日も黙々とゴミ拾い


そう それらはきっと
金や地位や名誉や欲望のためじゃない
誰のためでもない
それは全て
自分が自分らしく生きるため
ただそれだけのために 人は全力で もがき立ち向かう


だから僕は 今日も歩く 全力で歩く
未来の自分が いま思い描いている自分であるために。


(2007年10月17日)


=====


みんな頑張ってるんだなあ。
自分は頑張れていないなあ。

何で?
どうして?

ついつい自分にも他人にも問いかけてしまいがちだけど、
本当は分かってる。


あれがしたい。
これがしたい。

そんなストレートな欲求から、

笑顔が見たいから。
愛する人を守りたいから。

果ては、
名誉が欲しいから。
お金が欲しいから。

色んな動機もあろう。

でもそれはやっぱりすべて、自分のため。
何かを満たすことで自分が満足したいから。


だけど、薄っぺらいエゴとは違う、
プラスアルファ。
「何か」がそこにある。


そんな「何か」を探したくて、
今日も僕は歩いているのかもしれない。



次回の更新は明日7/9(土)23:56です。


 

七夕の夜、しゃぼん玉に想いを託す。(日記)

連続自動更新3日目。

今日も非公開の過去日記から。


=====


「しゃぼん玉」


将来の夢は 何ですか
400字以内で 作文しましょう
そんな課題が うるさくて
ダダッと学校を 飛び出した


近所の土手で 芝生に寝っ転がって
空を見てたら ふわふわと飛んできたしゃぼん玉
透明なボール 虹色に光ってる
思わず手を伸ばしたら 一瞬ゆがんでぱちんって消えた


なんだか何かに 似てるなぁって
あぁそうか これこそ夢じゃん
キレイで 手が届きそうで
でも触れようとすると はかなく割れる


いや待てよ これって人の心かな
光の当たりかたで いろんな色に変わってて
透き通ってて 美しくて
でももっと近づきたいって 手を差し出すと
ついっと逃げて なくなっちゃうんだ


なんだかちょっと 寂しくなって
立ち上がりながら おしりについた草をはらって
その時になって ふと思ったんだ
そういや誰が飛ばした このしゃぼん玉


土手の上を見上げたら 青い空をバックに
しゃぼん玉を吹く 君のシルエット
その瞬間 あぁ美しいって
心から そう思った


やがて君が吹いた しゃぼん玉は
僕の目の前 いっぱいに広がって
まるでしゃぼん玉の中に 君が笑っているみたい
僕はまた 無意識につかもうとして
君はまた からかうようにフッて消えた


そうだね
きっと 恋もまたしゃぼん玉
ふわっとしてて はかなげで
でも僕はもう 寂しいとは思わなかった


いつまでも 君の吹くしゃぼん玉を追っかけよう
いつまでも 僕は夢を吹き続けよう
そうしていつか 二人できっと手に入れよう
しゃぼん玉の中に たっぷりつまってる素敵な世界を


そうだよね 人生もまた しゃぼん玉


(2007年08月13日)


=====



しゃぼん玉って不思議だよね。

透明なのに、光ってて。
割れそうなのに、ふわふわ飛んで。


しゃぼん玉の中には周りとは違う、
何かが詰まってるんだろうなあって、
どうしても妄想を掻き立てられる。


いろんな感情だったり、
願いだったり、
想いだったり。


しゃぼんの中の僕らの人生。


今のあなたなら、何をしゃぼん玉の中に見るのかな。


今の、僕なら…?


天の川まで届くかな、
しゃぼんの中に込めた気持ち^^







次回の更新は明日7/8(金)23:57です。



 

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